金属加工の公差とは?±0.01mmの意味と精度を指定するポイント
金属部品の図面には、寸法とともに「±0.01mm」「+0.02/-0mm」といった数値が記載されることがあります。この許容できる寸法の範囲を、公差と呼びます。
公差は、部品同士の組み立てや動作、耐久性、気密性などを左右する重要な条件です。ただし、必要以上に厳しい公差を指定すると、加工工程や検査工程が増え、加工費や納期に影響する可能性があります。
この記事では、金属加工における公差の意味と種類、±0.01mmの精度、適切な公差を指定するポイントについて解説します。
金属加工における公差とは
金属加工では、図面に記載された寸法と完全に同じ数値で、すべての部品を製作することはできません。
工作機械の精度、工具の摩耗、加工時の熱、材料の性質、測定環境などによって、完成寸法にはわずかなばらつきが発生します。
そのため、設計寸法に対して、どこまでの違いを許容するかを図面上で指定します。この許容範囲が公差です。
例えば、図面に次のような指定があるとします。
20.00mm ±0.01mm
この場合、許容される寸法は次の範囲です。
- 最小寸法:19.99mm
- 最大寸法:20.01mm
測定結果がこの範囲に収まっていれば、寸法公差を満たしていると判断できます。
公差が必要な理由
部品の寸法に一定のばらつきを認めながら、製品として必要な機能を確保することが公差の役割です。
公差が設定されていないと、加工会社はどの程度の精度まで仕上げるべきか判断できません。
一方で、すべての寸法に厳しい公差を指定すると、必要以上の加工や検査が発生します。
公差を設定するときは、部品の機能に必要な精度と、製造しやすさのバランスを考えることが重要です。
寸法公差とは
寸法公差とは、長さ、直径、厚さ、幅、穴径などの寸法に対して設定する許容範囲です。
代表的な指定方法には、次のようなものがあります。
両側公差
基準寸法に対して、プラス側とマイナス側に同じ許容範囲を設定します。
50.00mm ±0.02mm
許容範囲は、49.98mmから50.02mmです。
片側公差
基準寸法に対して、プラス側またはマイナス側だけに許容範囲を設定します。
20.00mm +0.02/-0mm
許容範囲は、20.00mmから20.02mmです。
軸や穴のはめ合いなど、基準寸法を超えてほしくない、または下回ってほしくない場合に使用されます。
上限寸法・下限寸法による指定
許容できる最大寸法と最小寸法を直接記載する方法です。
19.98mm~20.02mm
加工側にとって許容範囲が分かりやすい指定方法です。
一般公差とは
図面に記載されているすべての寸法へ、個別に公差を指定するとは限りません。
個別の公差が記載されていない寸法には、図面の注記や適用規格で定められた一般公差が適用されることがあります。
一般公差を使用すると、重要な寸法だけに個別公差を設定できるため、図面を見やすく整理できます。
ただし、加工を依頼するときは、どの一般公差を適用するのかを図面や仕様書で明確にする必要があります。公差に関するJISは、日本産業標準調査会のJIS検索で確認できます。
寸法公差と幾何公差の違い
寸法公差が長さや直径などの大きさを規制するのに対し、幾何公差は部品の形状、向き、位置、振れなどを規制します。寸法公差と幾何公差の違いは、設計意図を正確に伝えるうえで重要です。
代表的な幾何公差には、次のようなものがあります。
- 真直度
- 平面度
- 真円度
- 円筒度
- 平行度
- 直角度
- 位置度
- 同軸度
- 円周振れ
- 全振れ
例えば、部品の厚さが寸法公差内に収まっていても、表面が大きく反っていれば、組み立てに支障が出ることがあります。
このような場合は、厚さの寸法公差だけでなく、平面度や平行度の指定が必要です。
表面粗さは公差とは別の条件
表面粗さは、加工した表面にある細かな凹凸の状態を示すものです。
寸法公差を満たしていても、表面が粗いと、摺動性、気密性、摩擦、摩耗、外観などに影響することがあります。
次のような部品では、寸法公差と併せて表面粗さの指定が重要です。
- 軸受と接触するシャフト
- シール面
- 摺動部品
- 油圧部品
- 精密な組み立て面
- 外観品質が求められる部品
必要な機能に応じて、寸法公差、幾何公差、表面粗さを使い分ける必要があります。
±0.01mmの精度が求められる部品
±0.01mmは、基準寸法に対してプラス・マイナス0.01mmまでの違いを許容する指定です。
0.01mmは10マイクロメートルに相当します。一般的なコピー用紙の厚さよりも小さい単位です。
このような精度は、次のような部品で求められることがあります。
- 軸と穴を組み合わせる部品
- ベアリング周辺部品
- 回転機構に使用するシャフト
- 位置決め用の治具
- 精密装置の構成部品
- 気密性が必要な部品
- 繰り返し組み立てる交換部品
ただし、±0.01mmが必要かどうかは、部品の材質、形状、大きさ、加工箇所、使用目的によって異なります。
宝栄工業が掲げる±0.01mmの加工精度も、すべての材質・寸法・形状へ一律に適用できるという意味ではありません。図面や仕様を確認したうえで、加工の可否を判断します。
厳しい公差が加工費に影響する理由
公差が厳しくなるほど、加工費が高くなる傾向があります。
主な理由は次のとおりです。
加工工程が増える
通常の切削加工だけでは必要な精度を確保できない場合、仕上げ加工や研削加工などの追加工程が必要になります。
加工時間が長くなる
仕上がり寸法を確認しながら少しずつ加工するため、1個あたりの加工時間が長くなります。
測定工程が増える
厳しい公差を保証するためには、工程途中や完成後に複数回の測定が必要です。
温度の影響を受けやすくなる
金属は温度によって膨張・収縮します。高精度部品では、加工時や測定時の温度管理も重要です。
不適合品のリスクが高くなる
許容範囲が狭いほど、わずかな寸法変化でも公差から外れる可能性があります。
必要以上に厳しい公差を指定すると、部品の機能を変えないままコストだけが増えることもあります。
適切な公差を指定する5つのポイント
1.機能上重要な箇所を明確にする
すべての寸法を同じ精度にするのではなく、組み立て、位置決め、回転、密封などに関係する重要箇所を特定します。
重要ではない部分には一般公差を適用することで、加工費を抑えやすくなります。
2.相手部品との関係を確認する
軸と穴、ボルトと穴、ガイドと摺動部など、相手部品との組み合わせを確認します。
単独の寸法だけではなく、はめ合いや必要な隙間まで考えることが重要です。
3.材質と形状を考慮する
薄い部品、長い部品、複雑な形状の部品は、加工時に変形する可能性があります。
また、アルミ、ステンレス、銅など、材質によって加工時の熱や変形の傾向が異なります。
4.熱処理・表面処理後の寸法を確認する
焼入れ、めっき、アルマイトなどの処理によって、寸法や形状が変化する場合があります。
公差が処理前と処理後のどちらに適用されるのか、図面で明確にする必要があります。
5.測定方法を確認する
公差を指定しても、適切な方法で測定できなければ品質を確認できません。
ノギス、マイクロメーター、ダイヤルゲージなど、寸法や要求精度に合った測定器を使用します。
見積もりを依頼するときに必要な情報
精密加工の見積もりを依頼するときは、次の情報をご用意ください。
- 部品図面
- 材質と材料規格
- 製作数量
- 寸法公差
- 幾何公差
- 表面粗さ
- 熱処理・表面処理
- 部品の用途
- 相手部品との関係
- 希望納期
- 検査成績書の要否
公差の必要性が分からない場合は、部品の用途や組み立て条件を加工会社へ伝えることで、加工方法を検討しやすくなります。
広島市で±0.01mmの精密金属加工に対応
広島市安芸区の宝栄工業株式会社では、NC旋盤、マシニングセンター、ワイヤーカット、平面研削盤などを活用した精密部品加工を行っています。
材質、形状、寸法などの条件に応じて、±0.01mmの高精度加工にも対応しています。
保有設備と対応範囲については、技術・設備ページをご覧ください。
単品試作や小ロット部品をはじめ、材料調達、機械加工、熱処理、表面処理まで、協力会社とのネットワークを活用した一貫対応も可能です。
詳しい加工内容は、事業内容ページでご案内しています。
図面と公差のご相談を承ります
金属加工における公差は、部品の機能と製造コストを左右する重要な条件です。
必要以上に厳しい公差を設定するのではなく、部品の用途、相手部品、材質、形状、加工方法を踏まえて指定することが大切です。
宝栄工業では、図面と材質情報をもとに、必要な加工工程や対応可能な精度を確認します。
広島市で精密部品加工、NC旋盤加工、マシニング加工をご検討の方は、お問い合わせページからご相談ください。
金属加工の公差に関するよくある質問
- ±0.01mmなら、どのような部品でも加工できますか?
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対応できる精度は、材質、形状、大きさ、加工箇所などによって異なります。図面を確認したうえで加工可否を判断します。
- 公差を指定していない寸法はどうなりますか?
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図面に記載された一般公差や適用規格に基づいて加工します。一般公差の記載がない場合は、見積もり前に加工会社へ確認してください。
- 公差を厳しくすると品質は高くなりますか?
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必ずしも部品全体の品質が高くなるとは限りません。機能上必要な箇所へ適切な公差を指定することが重要です。
- 図面の公差について相談できますか?
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加工方法や設備に基づくご相談は可能です。ただし、部品の機能や安全性に関する最終的な設計判断は、設計者・発注者側で行う必要があります。

