金属部品を製作するときは、形状や寸法だけでなく、使用する材質の選定も重要です。
同じ形状の部品でも、鉄・アルミ・ステンレス・真鍮・銅では、強度、重量、耐食性、加工性、コストなどが大きく異なります。使用環境や用途に適していない材質を選ぶと、摩耗や変形、さび、加工費の増加などにつながる可能性があります。
この記事では、金属加工で使用される代表的な材質の特徴と、部品の用途に合わせた選び方を分かりやすく解説します。
金属加工において材質選びが重要な理由
金属部品に求められる性能は、使用する場所や目的によって異なります。
例えば、機械の荷重を受ける部品には強度が必要です。一方、装置全体を軽量化したい場合は、鉄よりも軽いアルミが選ばれることがあります。
屋外や水分の多い場所で使用する部品では、強度だけでなく、さびにくさも重要です。また、電気や熱を伝える部品では、導電性や熱伝導性も材質選定の判断材料になります。
材質を選ぶときは、次のような条件を総合的に確認する必要があります。
- 必要な強度と硬さ
- 部品の重量
- さびや腐食への強さ
- 切削加工のしやすさ
- 熱や電気の伝わりやすさ
- 表面処理や熱処理の必要性
- 材料費と加工費
- 使用環境と耐用期間
単純に材料価格だけで判断するのではなく、加工費や表面処理費、部品交換まで含めて考えることが大切です。
代表的な金属材質の特徴を比較
| 材質 | 主な特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 鉄・鋼材 | 強度があり、種類が豊富 | シャフト、治具、機械部品 |
| アルミ | 軽く、加工しやすい | プレート、ブラケット、装置部品 |
| ステンレス | さびにくく、耐久性が高い | 食品機械、屋外部品、精密部品 |
| 真鍮 | 切削性がよく、外観も美しい | バルブ、継手、電気部品 |
| 銅 | 電気と熱を伝えやすい | 電極、端子、放熱部品 |
ただし、同じ材質でも成分や規格によって性質は異なります。最終的には図面、用途、必要精度、使用環境を確認したうえで選定します。
鉄・鋼材の特徴
鉄や鋼材は、産業機械、自動車、建設機械など、幅広い分野の部品に使用されています。
強度や剛性を確保しやすく、材料の種類も豊富です。シャフト、フランジ、治具、金型、機械構造部品など、力が加わる部品に適しています。
鉄・鋼材のメリット
- 強度と剛性を確保しやすい
- 材料の種類が豊富
- 熱処理によって硬さを調整できる
- 比較的材料を調達しやすい
- 機械部品から治具まで幅広く使用できる
鉄・鋼材の注意点
一般的な鉄鋼材料は、水分や湿気によってさびる可能性があります。
使用環境によっては、塗装、めっき、黒染めなどの表面処理が必要です。また、高い硬度が求められる場合は、焼入れなどの熱処理も検討します。
アルミの特徴
アルミは鉄と比べて軽量で、加工性にも優れた材質です。
装置の軽量化を目的としたプレート、ブラケット、カバー、治具、半導体製造装置部品などに使用されています。
アルミのメリット
- 軽量化しやすい
- 切削加工に適している
- 熱を伝えやすい
- さびにくい
- アルマイトなどの表面処理ができる
アルミの注意点
鉄やステンレスと比較すると、強度や剛性が不足する場合があります。部品の用途によっては、板厚や形状を調整して強度を確保しなければなりません。
また、アルミは比較的やわらかいため、締め付け部分や摩耗する部分では変形や傷にも注意が必要です。
ステンレスの特徴
ステンレスは耐食性に優れ、さびにくい材質です。
水分や湿気の影響を受ける場所、屋外設備、食品機械、医療機器、半導体関連装置などに広く使用されています。
ステンレスのメリット
- さびや腐食に強い
- 耐久性が高い
- 清潔な状態を保ちやすい
- 外観に高級感がある
- 屋外や水分のある環境で使いやすい
ステンレスの注意点
ステンレスは粘りがあり、加工時に熱を持ちやすい材質です。そのため、鉄やアルミと比べて切削条件や工具の選定が難しくなる場合があります。
加工形状や必要精度によっては、加工時間や工具費が増え、加工費が高くなることもあります。
真鍮の特徴
真鍮は銅と亜鉛を主成分とする合金です。切削加工がしやすく、外観が美しいことから、バルブ、継手、ノズル、電気部品、装飾部品などに使用されています。
真鍮のメリット
- 切削加工に適している
- 複雑な形状を加工しやすい
- 電気を比較的通しやすい
- 耐食性がある
- 金色に近い美しい外観を持つ
真鍮の注意点
鉄鋼材料ほどの強度が必要な部品には向かない場合があります。また、使用環境によっては変色や腐食が発生する可能性があるため、用途の確認が必要です。
銅の特徴
銅は電気伝導性と熱伝導性に優れた材質です。
電気端子、電極、放熱部品、熱交換器関連部品など、電気や熱を効率よく伝える必要がある部品に使用されています。
銅のメリット
- 電気を伝えやすい
- 熱を伝えやすい
- 耐食性がある
- 電気部品や放熱部品に適している
銅の注意点
銅は粘りがあり、加工時にバリや変形が発生しやすい材質です。高い寸法精度や良好な表面仕上げを実現するには、材質に合った工具と加工条件が必要になります。
材質を選ぶときの5つのポイント
1.必要な強度を確認する
部品にどの程度の荷重がかかるのかを確認します。
大きな荷重を受ける部品や摩耗する部品では、鉄鋼材料や熱処理された材料が適している場合があります。
2.重量を確認する
装置や製品を軽量化したい場合は、アルミが候補になります。
ただし、材質を軽くするだけでなく、必要な強度を維持できる形状や厚みも考える必要があります。
3.使用環境を確認する
屋外、水分、薬品、高温などの影響を受ける場合は、耐食性や耐熱性が重要です。
屋外や水分のある場所では、ステンレスを選ぶ方法のほか、鉄に表面処理を施す方法もあります。
4.必要な精度と形状を確認する
複雑な形状、深い穴、薄肉形状、高い寸法精度などが求められる場合は、材質によって加工難易度が変わります。
材質だけで判断せず、加工方法や保有設備との相性も確認することが大切です。
5.材料費だけでなく総コストで考える
材料単価が安くても、加工に時間がかかる材質では加工費が高くなる可能性があります。
反対に、材料単価が高くても、表面処理が不要になったり、部品寿命が長くなったりすることで、総コストを抑えられる場合があります。
見積もり時に伝えておきたい情報
金属加工の見積もりを依頼するときは、次の情報があると確認がスムーズです。
- 部品図面
- 希望する材質と材料規格
- 数量と継続発注の予定
- 寸法公差
- 表面粗さ
- 熱処理や表面処理の有無
- 部品の用途
- 使用環境
- 希望納期
材質が決まっていない場合でも、用途や使用環境が分かれば、加工会社へ相談しやすくなります。
広島市でさまざまな材質の金属加工に対応
広島市安芸区の宝栄工業株式会社では、鉄・鋼材、アルミ、ステンレス、真鍮、銅など、さまざまな金属材料の加工に対応しています。
NC旋盤、マシニングセンター、ワイヤーカット、平面研削盤などを活用し、単品試作から小ロット部品まで、形状や用途に合わせた加工方法をご提案します。
保有設備や対応内容については、技術・設備ページをご覧ください。
また、自社設備だけでなく協力会社とのネットワークを活用し、材料調達から機械加工、熱処理、表面処理まで一貫した対応が可能です。
詳しい加工内容は、事業内容ページでご案内しています。
材質が決まっていない段階でもご相談ください
金属部品の材質は、強度、重量、耐食性、加工性、コストなどを比較して選ぶ必要があります。
同じ用途でも、形状や使用条件によって適切な材質は異なります。「どの材質を選べばよいか分からない」「現在の材質を変更してコストを抑えたい」という場合は、図面や使用条件をもとに加工会社へ相談することが大切です。
宝栄工業では、図面と材質情報をもとに、部品の形状や数量に適した加工方法をご提案しています。
広島市で精密部品加工、NC旋盤加工、マシニング加工の依頼先をお探しの方は、お問い合わせページよりお気軽にご相談ください。
金属加工の材質選びに関するよくある質問
- 材質が決まっていなくても相談できますか?
-
用途、使用環境、必要な強度、数量などの情報があればご相談いただけます。ただし、最終的な材質の決定には、設計者や発注者による確認が必要です。
- 材料を支給して加工だけ依頼できますか?
-
材料支給による加工と、宝栄工業による材料調達のどちらにも対応しています。材質や材料形状によって対応が異なるため、事前にご相談ください。
- 1個だけの試作加工にも対応できますか?
-
単品試作や1個からの小ロット加工にも対応しています。形状、材質、必要精度、納期などを確認したうえでお見積もりします。
- 熱処理や表面処理まで依頼できますか?
-
協力会社とのネットワークを活用し、熱処理や表面処理を含めた一貫対応が可能です。必要な処理内容を図面や仕様書にご記載ください。

